データで実感。OMソーラハウスでの実生活1

省エネハウス

この記事ではOM-ソーラーハウスでの室温等のデータを実測し、太陽からのエネルギーが実際の生活にどのように使われているのかを計測、考察していきます。四季折々での生活のなかで実際に太陽のエネルギーや自然エネルギーを実際に利用し、可能な限り計測して、その恩恵を理解しようという試みです。自然エネルギーを生活に取り入れることを考えている方、これからの住まいを検討している方などの参考になれば幸いです。

OMソーラーとは

OMソーラー株式会社が提供している、太陽熱の利用システムです。パッシブソーラーと言われたりもします。太陽のエネルギーを太陽電池のようにいったん電気に変えるのではなく、太陽のエネルギーをそのまま熱として利用するため、この点については高いエネルギー効率が期待できます。OMソーラー全般についての詳細はOMソーラー株式会社のHP(こちらのリンク)を参照ください。同社のHPより暖房時の仕組みを引用するとこんな感じです。(図1)おおざっぱにいうと、太陽からの輻射熱によって温められた集熱パネル①(屋根に設置)の下に空気を通して、これを温め、その空気をハンドリングボックス(Fan)④で床下に送ることで床下を温めます。床下を温めた空気はガラリから部屋に吹き出すか、床そのものを温めて床暖房の役目を果たして室温を上昇させるほか、熱の一部は給湯用にも利用されます。 季節や時間帯(日中、夜間)によりいくつかの動作モードをもっていますが、大きな特徴として、輻射による熱のやり取りを利用したシステムであることがあげられると思います。

図1 OMソーラー概要(暖房)OMソーラー株式会社HPより 暖房 | 【公式】OMソーラー株式会社|自然と共生するパッシブハウスで快適な住まいを実現 (omsolar.jp)

熱の伝わり方について

 ここで、ちょっと熱の伝わり方の種類と実生活での応用について述べてみたいと思います。熱の伝わり方には、伝導、対流、輻射(放射)の3種類があるといわれており、通常の家庭生活でもむろん、この原理が使われています。例えば、冷暖房に使われるエアコンなどはヒートポンプと呼ばれる原理で作られた冷気(冷たい空気)や暖気(暖かい空気)をファンの力で吹き出すことにより、空気の対流によって快適な空気調和を実現しています。また、近年いろいろな種類のものが出回ってきている電気ストーブは(ヒーターの方式には様々なものがあるにせよ)温める原理は輻射(放射)式が多くみられます。伝導を利用したものはあまりないように見えますが、ボイラーなどは炎で水管を熱して結果的には水の温度を上昇させるものです。また、床暖房などのように接触によって熱を伝える部分はちょっとした伝導の仕組みの利用だといってもよいでしょう。

筆者の見るOMソーラーの特徴

OMソーラーの最大のポイントは上記の輻射の原理を最大限利用していることだと思います。輻射という仕組みは、水や空気のような伝導や対流で熱を伝える媒体がなくても熱が物体間を移動することができるのが特徴です。簡単に言うと光が熱を運んでくると思ってもよいでしょう。太陽と地球の間は真空ですので、熱は輻射によってしか太陽から地球に移動できません。この輻射熱は基本的には太陽の表面温度といわれる宇宙空間で約6000K(Kはケルビンといって絶対温度を表し、通常のセ氏の温度℃に約273を足したもの)の温度を持っているため、これを金属の板などで受けるとかなりの高温になります。よく真夏の日中に自動車を駐車しておくと、ボンネットが触れないくらい熱くなることがありますが、これと同じです。後ほど実際のデータで示しますが、条件がよいと屋根の表面温度は90℃に達することも珍しくなく、家庭用のエネルギー源として十分実用的な性質を持っています。さらに夜間には宇宙空間への輻射(昼間とは逆に地球から宇宙に輻射により熱が放出される現象)を利用して、家の温度を下げる工夫も施されています。これは宇宙空間の絶対温度が3K(つまりは-270℃)程度と言われているため、家の表面温度(絶対温度で300K)に対して十分低いため、地球から宇宙への熱の輻射が起こるためです。冬の天気予報などで、「明日の朝は放射冷却により冷えるでしょう」といったアナウンスが時折なされると思いますが、この場合の放射冷却とは輻射によって地球の(あるいは家の)温度が下がることで、同じ原理なのです。夏にはこのような予報がされることはまずありませんが、実際には夏であっても夜間に地球から宇宙への熱の輻射は起こっています。このようにOMソーラーでは輻射の原理と太陽、宇宙の温度差利用した仕組みとなっているのが特徴です。

OMソーラーのメリット

気温の変動による影響が比較的少ない

エネルギー源が太陽からの輻射そのもののため、気温による影響が比較的小さいことがあげられます。冬の寒い日でもすっきり澄み渡った天候であれば、かなりの量の熱を得ることが期待できます。また、風の影響も受けないので、木枯らしが吹いているような天候でも晴れてさえいれば、室内では同様に暖かい日が過ごせるわけです。

小屋裏の温度を低めに維持できる

夏などは屋根に降り注いだ熱を屋外に排気する機能があるため、小屋裏の温度が上がりすぎないというメリットがあります。もっとも、これはOMに限った話ではなく、屋根の断熱や小屋裏の構造の設計により同様の効果を出すことは他のやり方でも可能だと思います。OMの場合、屋根の上の集熱パネルで太陽の熱を受け止め、それをしかるべき用途に移動させるので、自然と小屋裏の温度がコントロールされる、とも言えると思います。

太陽熱でお湯を作れる

 屋根の集熱面で発生した熱は室内を温めるほか給湯にも利用されます。屋根の集熱面の温度は先ほどものべましたようにかなり高温になりますので、条件によっては家庭用には十分な温度のお湯を作ることができます。家庭で使うエネルギーの大半は給湯用だといわれており、エネルギーの視点からは給湯をどうするかは重要な問題です。家庭用に必要なお湯の温度はせいぜい50℃程度ですが、このお湯を作るのに何百度の炎をわざわざ化石燃料を使って発生させて作るのはいかにももったいない、と思います。何しろ太陽からは6000℃に近い(地球上では5700℃程度)熱が光によって運ばれてくるし、実際屋根の上では90℃にもなるのですから。外部のエネルギーを使って高温を発生しなくても、実用的には十分というわけです。電気や燃料なしで、集熱パネルと簡単な熱交換だけでお湯を作れるのは魅力的な仕組みと言えるでしょう。ただし、屋根の面積や地域、季節によっては室温の確保と給湯量の確保が両方できない場合はあります。後ほど実例を検証することで、どの程度の能力があるのか、課題も含めて確認していきたいと思います。

仕組みが比較的単純な機器で構成されている

最近ではOMソーラーもバッテリーやヒートポンプなど、ハイテク(?)な機器を取り込んでいるようですが、基本的には、エネルギーの効率利用をするシステムとしてはどちらかというとシンプルな機器で構成されていることです。設備としての最大のモノはハンドリングボックス(写真1)といわれるいわゆるオートダンパーの一種ですが、筐体、空気の経路を切り替える自動ダンパ、若干のセンサーとコントローラーで成り立っていて、単純なものです。失礼な言い方かもしれませんが、ローテクです。OMソーラーはこのように優れたエネルギー利用のコンセプトに基に、ごくシンプルな技術の組み合わせでシステムが構成されていることが、良いところだと、私は思います。 

写真1 拙宅のハンドリングボックス

OMソーラーのデメリット

設置に費用がかかる

どんなもシステムでも同様ですが、御多分にもれず、OMソーラーとて導入には費用が掛かります。ケースバイケースでしょうが、そんなに安くない費用は掛かってしまいます。また、システムが家全体の構造と密接に関係しているので、レトロフィットなどは事実上できないのではないかと思います。(未確認ですが)いずれにせよ、新築で建てる時に十分な時間をかけて導入を検討するのが必要になると思います。

100%太陽エネルギーで生活できるわけではない。

これもOMソーラーに限った話ではないですが、100%は困難だということがあげられます。当然ながら太陽が出ていない間や、調理やパソコン、掃除洗濯など、生活に必要なエネルギー(特に電気)は供給されませんので、いわゆるZEHにはなりません。あくまで空調と給湯に限られており、しかも太陽の出ない雨や雪の日には補助的な手段が必要になります。(最近のシステムではZEHを目指したシステムもあるようですが、我が家は古いタイプなので、原理的にはZEHにはなりえない家となっています)

施工業者が限られる

特に屋根の構造は独特になるため、施工上はきちんと認定を受けた工務店さんにお願いする必要があります。OMソーラーでは認定業者を公表してますので、その中から選ぶ必要がありますが、それだけ自由度は少なくなるということが言えるでしょう。

全館空調に関する問題ー吹き抜け、ダクトなど

これをデメリットというべきかどうかは微妙ですが、全館の空調を一元的に行っているため、空気のリターンを取るための空気の経路として、吹き抜けが必要です。私などは吹き抜けが好きなので問題はありませんが、好みによっては、デザインとしての吹き抜けを好きになれない場合、問題になるかもしれません。吹き抜けは火災時には火の回りが早い、というご意見もあるようです。また、同様に屋根から床下に空気を送るダクトが必要であり、そのダクトを空気が動く際に雑音が発生します。この辺は住んでみて気になる、という場合もあるかと思いますが、全館空調で空気を循環させることが大前提になっているので、事前に確認しておくことが必要かと思います。このブログでも後ほど音の問題については取り上げていきたいと思います。

基本情報

今回はOMソーラーの基本的なことをご紹介しました。次回以降で、実際のデータを含む情報を見ていきたいと思いますが、その前にこの情報源である、我が家の基本情報を以下に書き出しておきます。太陽光発電などもそうですが、太陽エネルギーの利用はその場所(緯度、経度)や年間を通じての日照条件、気象条件などに大きく影響されます。ですので、同じ仕様で家を作ったとしても場所が違えば条件も変わり、同じ結果にはならないのが当然です。ですので、今後のデータや情報は、このような前提のものとの結果であることはあらかじめご了承いただきたいと思います。

所在地長野県佐久市
緯度経度 36°14’55.9″N 138°28’36.6″E
年平均気温 10.9度(2022年)
年間日照時間 
2146.9時間(2022年)
(日本の中央値で2000時間程度)
表1 立地条件概要

次回予定

次回は今年の3月にお試しで計測した家のデータをご紹介したいと思います。基本的には冬の1日のデータになりますが、太平洋側の気候によくある、寒いけど晴れた日、という条件です。お試しのデータどりだったので、あまり多くのデータはありませんでしたが、実感と合わせてご紹介していけたらと思いますので、次回以降もよろしくお願いいたします。

コメント

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  2. Cassandrat より:
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